募集概要
現在当科では医師を募集しています。
- 後期研修医(卒後臨床研修を修了した医師免許取得後3~5年の者)
- 医員(医師免許取得後6~10年目の者)
- 病院助教(医師免許取得後11年目以降の者)
プログラム概要
感染症内科学講座は一般感染症を含むすべての感染症に対応できるように、専門外来と14床の入院施設を有し、日本感染症学会モデル研修施設として、また、第1種感染症指定医療機関、AIDS中核拠点病院として診療・教育・研究に携わっています。外来診療は一般感染症外来以外にワクチン外来や寄生虫外来、HIV感染症、呼吸器感染症外来など特殊外来も整備し、またトラベルクリニックの開設も準備中です。もちろん、院内外の感染症症例のコンサルテーション活動も行っています。高度先進化した医療のもとではコンプロマイズドホストの増加とともに難治性感染症も増加し院内外で発生したこれらの感染症についてコンサルテーション業務を推進・充実することで、感染症の早期治癒による入院期間の短縮や感染症治癒率の向上と予後の改善に貢献しています。当講座のもう1つの責務として感染管理があります。コンサルテーションや積極的な介入を通して抗菌薬適正使用を推進し、職員の感染症に対する意識を向上させ、耐性菌の防止と院内感染対策を強力に推進しています。
-3つの研修プログラム-
- 一般感染症における抗菌薬適正使用研修プログラム
- 感染管理研修プログラム
- 免疫不全患者の感染症診断治療研修プログラム
奈良県立医科大学では感染症の診療・教育・研究に関する人材育成と地域の施設の育成は徐々に進行・熟成し、感染症診療の質が向上しつつあります。
今後はさらにプログラムに沿って教育体制を充実させ、優秀な感染症医の育成に努めていきます。
専門医の取得
- 日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医
- ICD制度協議会認定ICD
- 日本感染症学会感染症専門医・指導医
- 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医
各プログラムの特徴
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一般感染症における抗菌薬適正使用研修プログラム
市中・院内におけるコモンな感染症、すなわち肺炎や尿路感染症、皮膚軟部組織感染症、血流感染症や髄膜炎を対象とします.分離された微生物とその感受性に応じて、最適な抗菌薬を最適な投与方法で投与できるようになることを学んでいただくのはもちろんですが、病歴や身体所見、検査所見からそもそもどのような感染症なのか、想定される微生物は何か、想定される感受性はどうか、といったアセスメントが適切にできるようになることを目指します。
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微生物検査カンファレンス(毎日16時30分~)
実際の微生物検査の流れをみてもらい、感染症診療への活用の仕方を学習してもらいます。また日々の血液培養陽性・耐性菌検出症例などの対応を学びます。初期研修医には週1回微生物検査室での実習があります。
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臨床感染症カンファレンス(月曜日18時~)
薬剤部、微生物検査室などと合同で症例検討や検査、抗菌薬使用状況に関するディスカッションを行います。
その他、後期研修医には国内外で1類感染症研修会や熱帯医学研修(タイ、フィリピンなど)の学習の機会があります。
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感染管理研修プログラム
感染症を「起こさない」ようにすることは、患者予後のみならず、医療経済の視点からも大変意義の高いことです。初期研修医には、標準予防策や接触感染、空気感染といった感染経路別予防策や手指衛生の重要性について基礎から学んでいただきます。また、後期研修医には感染管理室へのローテーションを通じ、耐性菌検出時の対応や、針刺し事故対応、ワクチン接種、人工呼吸器関連肺炎の予防や術後感染の予防など、感染管理について幅広く学んでいただきます。
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ICTラウンド(金曜日15時~)
感染管理看護師(ICN)や微生物検査技師、薬剤師とともに、院内全体の感染管理に関する議論および実際の病棟訪問を行います。
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ICT委員会(第2月曜日)
感染管理に関する院内全体の課題事項を議論します。
その他、後期研修医には厚労省が開催する院内感染対策研修会をはじめ各種講習会などでの学習の機会があります。
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感染管理室ローテーション(後期研修医対象)
後期研修医を対象とした、日本でも数少ない感染管理を集中的に学ぶプログラムです。
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感染管理看護師(ICN)やインフェクション・コントロールドクター(ICD)とともに耐性菌対策やアウトブレイク対策にあたります.またICTラウンドや各種委員会に出席し、院内感染対策の実際をOJT(On-the-Job Training)で学んでいただきます。
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院内感染対策セミナーの開催やICTニュースの作成など、院内教育活動にも従事します。
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微生物検査室における実習(鏡検、分離・培養、同定、アンチバイオグラムの作成)や、薬剤部でのTDM(薬物血中濃度測定)およびシミュレーション業務も含む、職種横断的かつ包括的なプログラムです。
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免疫不全患者の感染症診断治療研修プログラム
当院は奈良県エイズ中核拠点病院に指定されており、HIV診療はもちろんのこと、県内のHIVに対する教育及び普及を推進する立場にあります。HIVは治療薬の特殊性もさることながら、日和見感染症、長期合併症、及び社会的背景など、様々なファクターを知った上での診療を行う事が重要であり、総合臨床力が試される分野です。その様々な場面を入院と外来での継続した診療を通じて臨床研修を行います。
また、当院は都道府県がん診療連携拠点病院に指定されており強力な抗癌治療を行う症例や、さらにそれ以外にも各種免疫抑制薬を使用する症例が多く、HIV以外の免疫不全の症例に発症した感染症を数多く診療しています。1日に平均2~3件、年間平均して600件以上のコンサルトがあり、しかもこれらの多くは重症・難治性感染症です。研修プログラムでは、実際にコンサルトを受け、適切な医療面接と病態の把握を行ない、論理的思考ができるように上級医とラウンドを行い、さらには当該科主治医と共に考え、その上で問題があれば上記の臨床感染症カンファレンスでディスカッションを行うことで、最終的な推奨治療を行える様に感染症コンサルタントとしての研修を行います。
- カンファレンスなど
- HIVカンファレンス(第3木曜日18時~19時)臨床心理士やHIV専門薬剤師、看護師、Medical Social Worker (MSW)とともに、当院に来院されている患者様を多職種で検討し、一人一人に合ったケアの方法を全体として議論します。
- その他後期研修医では、大阪医療センターでのHIV研修、あるいは国立国際医療研究センターでの研修、海外でのHIV研修(タイ等)の学習の機会があります。